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AI Advance株式会社
AIエージェント AI Advance
公開日: AIエージェントAI導入

FAX受注をやめられない会社の、入力だけ先に減らす⁠順⁠番

執筆: 池田 哲郎(代表取締役・中小企業診断⁠士⁠)

FAX受注の効率化とは、届いた注文書を人が基幹システムに打ち直す工程だけを機械に渡し、人は確認と例外対応に回すことです。FAXそのものをやめることではありませ⁠ん⁠。

「注文はいまもFAXで来ます」。卸売業や製造業の経営者からそう聞くとき、たいていセットで続く言葉があります。「やめたいけれど、取引先があるので無理なんです」。この記事は、その「無理」を前提にしたまま、事務の時間を先に取り戻す順番を書いたものです。読み取りの精度をどう見積もるか、どこから手をつけるか、いくらかかるか、そして多くの解説が飛ばしている「受注後の変更」まで扱いま⁠す⁠。

なお、目標を渡すと完了まで自分で仕事を進めるAI=AIエージェントの仕組みそのものについては「AIエージェントとは何か」をご覧くださ⁠い⁠。

FAX受注の何に時間が溶けている⁠の⁠か

時間が溶けているのは、届いた紙が受注データに変わるまでの工程が、端から端まで人の手で連結されているからです。「読む」時間そのものは、ごく一部にすぎませ⁠ん⁠。

朝いちに届いたFAXの束は、次の6つを通ってようやくデータになります。受け取る、取引先や納期で仕分ける、内容を読む、基幹システムに打ち込む、加工や出荷の担当に展開する、原本を綴じて保管する。このうち利益に直接効く判断は「読む」と「展開する」の一部だけで、あとは移し替えで⁠す⁠。

加えて、原本が会社にしか無いので、受注処理のためだけに誰かが必ず出社することになります。過去の注文を社内から聞かれるたびに綴りを繰る時間も、どの帳簿にも現れませ⁠ん⁠。

FAX受注が受注データに変わるまでの6工程 1 受け取る FAX受信 機械に渡せる 2 仕分ける 取引先・納期で分ける 機械に渡せる 3 読む 内容を確認する 人の判断あり 4 打ち込む 基幹システムへ入力 機械に渡せる 5 展開する 加工・出荷の担当へ 人の判断あり 6 保管する 原本を綴じる 機械に渡せる 判断が要るのは3と5の一部だけ。 残りは移し替えで、そこから手を入れる。
図1:FAX受注が受注データに変わるまでの6工程。判断が要るのは一部で、残りは移し替⁠え⁠。

量産品と機械装置の加工を手がける製造業では、受注書・納品書・請求書がいずれもFAX中心の紙で回っており、この管理業務だけで月10時間程度が溶けていました。ならせば1日30分。「困ってはいるが、人を増やすほどではない」と判断されやすい規模で、だからこそ何年も残り続けま⁠す⁠。

損失が出るのは入力の工程だけとは限りません。従業員36名の建築資材卸売業では、最大のボトルネックは検索でした。見積を作るとき、過去に同じ商品をいくらで出したかを調べるのに1件あたり10数秒。20行の見積なら、それだけで数分です。1回は小さく、毎日全員が繰り返す。この損失は日報にも残業時間にも現れませ⁠ん⁠。

受注がいまも電話とFAXで届く会社は珍しくありませんが、「受注の何割がFAXか」を示す全国の公的統計はありません。近いのは東京商工会議所が主に東京23区内の中小企業を対象に行った「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」(2025年1月公表、10,000社送付・1,218社回答。調査結果)で、受発注の手段は「電話・FAXによる受発注」が24.6%(n=1,002)。ただしこの集計は、デジタル化の度合いが最も低い層を除いた1,002社が母数です。電話とFAXだけで受注している会社の実勢は、これより高い可能性がありま⁠す⁠。

前提を一つ置かせてください。これは「事務員が採れないから機械にやらせる」という話とは違います。帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」(2026年4月調査)では正社員が不足していると感じる企業が50.6%。一方、厚生労働省「一般職業紹介状況」(令和8年3月)では一般事務従事者の有効求人倍率は0.37倍と、職業計の1.10倍を大きく下回ります。論点はいま社内にいる限られた人員の時間を、これからも転記に使い続けるのかどうかにありま⁠す⁠。

「FAXをやめる」を目標にすると、たいてい止⁠ま⁠る

FAXが残っているのは、自社の都合ではなく取引先の都合です。だから「FAXをやめる」を目標に置くと、自社の意思では動かせない相手待ちになり、着手できないまま年度が終わります。やめる前に、入力だけ先に減らす。順番はこちらが先で⁠す⁠。

手段を並べるときは、機能で比べる前に「取引先の作業が変わるか」で二つに割ると判断が速くなりま⁠す⁠。

手段何が変わるか取引先の作業
クラウドFAX紙の出力・仕分け・保管がPDFの受信に変わる変わらない
AI-OCR・AIによる読み取り打ち直しが「確認」に変わる変わらない
RPA読み取った値を基幹システムの画面へ入れる操作を代行変わらない
Web受発注システム取引先が自分で入力する変わる(相手の入力手順)
EDI受発注のデータをシステム間で直接交換する変わる(相手側にも仕組みが要る)

ただし「相手の作業が変わらない」ことと「相手のデータを外部に置いてよい」ことは別で、後者は次に述べるとおり着手前の確認が要りま⁠す⁠。

下段は本筋の手段です。EDIは1989年に通商産業省(当時)の委員会で「異なる組織間で、取引のためのメッセージを、通信回線を介して標準的な規約を用いて、コンピュータ間で交換すること」と定義された古い概念で(原文はJIPDECが掲載)、中小企業向けには中小企業共通EDI標準(中小企業庁の委託事業をもとにITコーディネータ協会が策定、2018年初版)もあります。EDIに限らず電子受発注全般で見れば、中小企業庁は2021年時点で受注側の48.5%が対応済みと公表しています(令和3年度取引条件改善状況調査。FAXの比率ではなく対応率です)。取り組む会社は珍しくありません。ただし、相手が動くまで始められない一点は動かせませ⁠ん⁠。

しかも、自社だけで完結するはずの上段にも確認が要ります。取引先から受け取った図面や仕様のデータは、相手の許可なしにクラウドへ載せてよいとは限らないからです。主要取引先が3〜6社の会社なら、1社でも「うちのデータは外部に置かないでほしい」と言われた時点で、その構成は全体が止まります。作ってから聞くのではなく、作る前に全取引先へ確認する。 順序を逆にすると投資が丸ごと無駄になりま⁠す⁠。

ただし、「取引先は動かない」と決めつけないでください。従業員が数名の製造業で、FAXで届く注文書に注文番号も日付も紐付いておらず社内で追跡できなくなっていた会社は、取引先に「注文書に番号を入れてほしい」と頼み、それが通りました。相手のシステムを変える要求は通りにくい。けれど、相手の帳票に1項目足す要求は通ることがありま⁠す⁠。

自動化できる注文書、できない注⁠文⁠書

読み取りがうまくいくかどうかは、AIの性能ではなく帳票の揃い方で決まります。同じ仕組みでも、様式が揃った注文書ほど手直しは少なく済み、記入欄の自由度が高い注文書ほど手直しが増えて割に合わなくなりま⁠す⁠。

行政の検証でも、そこは明確に言われています。総務省「業務改革モデルプロジェクト」で足立区が行った検証(2018年7月〜2019年2月)は、AI-OCRとRPAの活用で6業務・合計1,436時間の削減見込み、費用対効果は約415万円/年と報告する一方(足立区の公表資料。自治体業務の見込み値です)、こう釘を刺しています。「複数帳票、申請書の記載欄の自由度が高い、帳票レイアウトが統一されていないような業務は、人がやるべき作業が多くなってしまい、業務量の削減効果が見込めません⁠」⁠。

精度も、条件とセットでしか意味を持ちません。自治体6団体が参加した公表実証(2018年12月〜2019年3月、手書きサンプル11種73帳票)では、正読率は文字単位で平均93.3%、項目単位で平均88.57%でした(実証の公表資料)。誤読が出やすい条件も挙げられています。目視でも読みにくい雑字・くせ字、罫線や枠線への文字の重なり、枠からのはみ出し、裏面の文字の透け。FAXで届く注文書は、この条件に当てはまりやすい部類で⁠す⁠。

読み取りやすい注文書と読み取りにくい注文書の対比 手直しが少なく済む注文書 取引先ごとの様式が揃っている 記入欄の位置が決まっている 活字で印字されている 文字が枠内に収まっている 手直しが増える注文書 取引先ごとに様式が違う 記入欄の自由度が高い 手書き・くせ字がある 罫線への重なり、枠のはみ出し 読み取りの成否は、AIの性能より 帳票の揃い方で決まる。
図2:読み取りの成否は帳票の揃い方で決まる。様式が揃った注文書ほど手直しが少な⁠い⁠。

現場で実際に起きることも一つ。当社が開いているAI勉強会で、「手書きで修正が入ったPDFを読ませると、最上位のモデルでしか文字を認識してくれず、1枚あたりの処理コストが跳ね上がる」という相談がありました。伝えた手当ては、PDFをそのまま渡さず、一度PNGなどの画像に変換してから読み込ませると素直に処理されることが多く、そのぶん安いモデルで済む可能性がある、というものです。ただし、画像化すれば下位のモデルでも手書きの修正まで読めるのかどうか。ここはまだ検証中で、正直なところ断定できません。それでも、手書きの追記が多い会社ほど、読み取りにかかる費用は帳票の状態で決まりま⁠す⁠。

方式にも触れておきます。AIで読み取り精度を高めたOCRは一般にAI-OCRと呼ばれ、従来は「この様式のこの位置に注文番号がある」と様式ごとに定義して使うものでした。近年は、注文書のPDFや画像をそのままAIに読ませて項目を抜き出す方式も取られます。取引先ごとに書式が違っても同じやり方で試せる点は従来型と異なりますが、事前定義がまったく不要になると言い切れるわけではなく、読めるかどうかは自社の実物で確かめる領域です。なお、読むのがAI-OCRやAI、読み取った値を基幹システムの画面に入れるのがRPAという役割分担になります。違いは「AIエージェントとRPAの違い」で整理していま⁠す⁠。

手をつける順番——入口を1つに⁠絞⁠る

件数が多く、様式が揃っているものを1つだけ選ぶ。ここが実務上いちばん効く判断です。全部の取引先、全部の様式を一度に載せてはいけませ⁠ん⁠。

最初に任せる業務は「はじめからデータで動いているもの」から選ぶ。これが業務選定の原則で、詳しくは「AIエージェントに最初に任せる業務の選び方」に書きました。FAX受注はその原則の例外に見えますが、例外なのは入口の一点だけです。受け取り方をPDFにそろえた時点から先は、データで動く業務になります。だから順番として、入口をデータに変えることが先に来ま⁠す⁠。

受注側ではなく製造側の紙、つまり作業日報を数字に変える順番は「日報を電子化しても納期は読めない|工場が先に直す4項目」にまとめていま⁠す⁠。

2026年版中小企業白書によれば、2019年以降の省力化投資についてAI活用に「取り組んだ」中小企業は30.3%(n=5,645、資料は帝国データバンク調査。確認元の資料)。AIを活用していない理由(複数回答、n=3,888)の最多は「活用する業務がイメージできていない」で63.4%でした。止まっている理由は、道具が足りないことより、入口が決まらないことにありま⁠す⁠。

量産品と機械装置の加工業では、三層に分けて考えました。フロント(受け取りと読み取り)、中間(データの置き場)、バック(見える化)。三層で描くと、どこから作ってどこを後回しにできるかがはっきりします。そのうえでこの会社は、まず量産品の定型的な帳票から始め、運用が安定してから個別性の高い機械装置案件へ広げる順番を選びました。難しいものを最初に持ってこない。業種を問わず効く原則で⁠す⁠。

進め方は5段階で足りま⁠す⁠。

  1. 1ヶ月分のFAXを数える。取引先別・様式別の件数と、手書き追記の有無を並べます。上位2〜3社で全体の何割かが見えると、入口はほぼ決まりま⁠す⁠。
  2. 入口を1つ決める。件数が多く、様式が揃っていて、手書きが少ないものから選びま⁠す⁠。
  3. 受け取り方を1本にする。紙に出力してから読ませる形をやめ、PDFのまま受けられる形にそろえます。クラウドを使うなら、前章の取引先確認が先で⁠す⁠。
  4. 読み取った結果の置き場を作る。要点は、入力回数を減らし、一度入れたデータをみんなで見る形にすることです。あわせて「リアルタイム入力は本当に必要か」も見直します。ユニフォームの製造販売業では、1日1回まとめて入れれば足りる業務が思っていたより多くありまし⁠た⁠。
  5. 検証期間を設ける。ミスと時間が実際に減ったかを、感覚に頼らず数で確かめま⁠す⁠。

補足を二つ。まず、AIを買う前にやることがある場合があります。注文書に番号を入れてもらった数名規模の製造業では、実装はバーコードリーダー(10万円程度)とエクセルで足ります。注文書に番号が入り、番号で追える状態になれば、それだけで社内の探し物が消えるからです。もう一つ、入力ミスの対策を「気をつける」と決める会社が多いのですが、これは改善策になりません。注意力を強化してもミスは減りません。減らすべきは入力回数そのもので⁠す⁠。

データの置き場の整え方は「自社データとAIをつなぐ」に、帳票・伝票の転記を含む業務別の始めどころは「中小企業の生成AI活用事例」にまとめています。同じ「紙で届くものを読み取ってデータにする」入口を、運行日報と給油伝票から車両別の採算に向ける進め方は「利益が燃料と修繕に消える運送業」に書きました。同記事は「データでやり取りできる範囲」を前提に整理したものですが、FAXで届く注文も、読み取りの入口さえ作ればその射程に入りま⁠す⁠。

例外処理——受注後の「変更」をどう扱⁠う⁠か

受注業務のミスは、初回入力よりも変更で起きます。ここを設計に入れない自動化は、現場から見ると「入力だけ速くなって、あとは前と同じ」になりま⁠す⁠。

ユニフォームの製造販売を手がける会社は、こうなっていました。受注書をシステムに入力し、そのうえで紙の伝票も作る二重管理。顧客から変更が入ると、システムを直し、紙の伝票を直し、加工部門に連絡し、共有スプレッドシートも更新する——4箇所です。忙しい時期には「あとで連絡しよう」と後回しになり、そのまま抜ける。ゼロにはできないけれど、抜けが蓄積すると後工程から苦情が上がりま⁠す⁠。

ここで「営業部の連絡が悪い」と原因を人に置くと、対策は精神論にしかなりません。実際には、変更を1回入力すれば全員に伝わる基盤が無いという設計の問題です。見るべきは、変更が発生したときに更新しなければならない場所がいくつあるか。4箇所を1箇所にできれば、伝達の抜けは構造的に減りま⁠す⁠。

ですから、読み取りの自動化を検討するときは、同時に変更の経路を決めてください。初回入力だけ機械に渡して、変更は紙のまま。これをやると、二重管理の層がもう一枚増えます。受注データが1箇所にあり、そこを見れば最新がわかる状態を先に作り、読み取りはその入口として足すのが自然な順序です。なお、こうした作り直しに着手するなら閑散期を選ぶのが無難で⁠す⁠。

人が最後に確認する、という責任⁠設⁠計

読み取りは全自動にしない。「担当者の判断支援」として位置づけ、最終判断は人が行う。この形から始めるのが、中小企業では結果的にいちばん速く回りま⁠す⁠。

理由は、責任の所在がはっきりすること、どのデータをどう扱ったかを後から追えること、全自動に要るデータ蓄積と検証期間を待たずに済むこと、初日から運用に乗せられること、そして現場の抵抗が小さいことの5点です。「あなたの判断を機械に置き換える」と「あなたの確認を楽にする」では、受け止め方がまったく違います。この線引きの考え方そのものは「AIエージェントに最初に任せる業務の選び方」に整理しまし⁠た⁠。

そのうえで、この記事の主題であるFAXの読み取りに固有の話を三つ書きま⁠す⁠。

まず、誤り方です。注文書のPDFや画像をそのままAIに読ませる方式では、画像を読み取るAIモデルの提供元が公開している技術ドキュメント自身が、低品質な画像・傾いた画像・極端に小さい文字では誤りが起こりうると明記しています。厄介なのは、読めなかった箇所が空欄になるのではなく、もっともらしい別の値として出てくることがある点です。空欄なら誰でも気づきますが、それらしい数量や品番は気づけません。人の確認を外せない理由は、精度が何%かという話より、この誤り方にありま⁠す⁠。

次に、確認する側の画面です。読み取り結果を数字と番号だけで表示すると、確認は照合作業になり、結局は元の紙を探すことになります。読み取った値の横に原本の画像を並べる、品番だけでなく現物の写真を添える。目視で一致を確かめられる形なら、確認は数秒で終わります。前述のユニフォーム製造販売業でも、ミス削減の実務として出てきた工夫で⁠す⁠。

そして、測ること。「速くなった気がする」で終わらせず、処理件数、差し戻しの件数、確認にかかった時間を並べる。減っていなければ、原因は入口の選び方か帳票の側にありま⁠す⁠。

全部入りにしない——投資の刻み方と、自社でやるか頼⁠む⁠か

レベルを刻んで、中間を取る。やる/やらないの二択にしないこの考え方が、投資を現実的な額に収めま⁠す⁠。

先ほどの建築資材卸売業(従業員36名)では、既存システムの更新にあたって提案を4レベルで並べました。レベル1は現行と同等の作り直し、レベル2は既存機能に不足分を追加、レベル3はさらに在庫管理を載せる、レベル4はAI活用を入れる。採用されたのはレベル2+レベル4の中間案でした。在庫管理は運用の負荷が読めないのでスキップし、日々の見積作業に直接効くAI活用は入れる。その入口は見積作業の簡略化で、いま見積1件にかかっている作業時間を100としたとき、60まで(4割減)を現実的な目標値に置きました。ここに含まれるのが、冒頭で触れた「過去の販売価格を1件10数秒かけて探す」時間です。見積そのものをAIに任せる話は「見積書作成をAIに任せるには」に書きまし⁠た⁠。

読み取り側では、当社が支援した卸売・製造業で手書き帳票の処理が1件あたり30分から3分になった事例があります(導入事例)。費用の内訳や見積の型は「AIエージェント導入の費用」に譲りますが、この記事の範囲で言えば、入口を1つに絞れば十万円台の道具立てから始まる会社もあり、基幹システムへの接続や例外処理の設計まで含めれば桁が変わります。期間も同じで、1ヶ月分を数えるところから運用に乗せるまで、入口が1つなら数週間から数ヶ月が現実的な幅です。全様式を一度に載せる計画にすると、この幅は一気に伸びま⁠す⁠。

自社でやるか外に頼むかの分かれ目は、様式の数、基幹システムへの接続、例外処理の量で⁠す⁠。

自社の状況現実的な進め方
様式が1〜2種、1日数件、手書きがほとんどないまず手元の道具で。既存のAIツールと表計算、必要ならバーコードで足りることがある
取引先ごとに様式が違う、手書きの追記が多い読み取りの検証から。自社の実物30〜50枚で通るかを確かめてから投資を決める
基幹システムへ入れるところまで自動化したい、変更や例外の経路まで設計が要る外部に頼む領域。接続と例外処理は、作るより保守し続けるほうが重い

資金面では、省力化投資補助金など、設備・システム投資を対象にした制度があります。対象になるかは公募回ごとの要領で確認が必要で⁠す⁠。

なお、ここまでは取引先から届く書類の話でした。自社から取引先へ出す書類の側は、逆向きの課題になります。食品製造業で提出を求められる規格書については「商品規格書の作成に追われる食品製造業|手をつける順番」に書きまし⁠た⁠。

ISDN(INSネット)は2028年末で終了⁠す⁠る

該当する会社は限られます。ISDN回線でG4 FAXやレガシーEDIを使っている会社だけの話です。NTT東日本・西日本のINSネット(64/64・ライト/1500)は、2028年12月31日でサービス提供が終了します。理由は利用者の減少に加え、2029年以降のサービス提供に必要な設備部材が枯渇する見込みであることで、新規申込の受付は2024年8月31日に終了済みです。G4 FAXやレガシーEDIが使ってきた「ディジタル通信モード」は2024年1月に終了して補完策に切り替わっていますが、その補完策も、遅くとも2028年12月末のINSネット終了に伴って使えなくなりま⁠す⁠。

NTT東西は、終了直前の2027年度・2028年度は申し込みが集中し、希望日に工事が実施できない可能性があるとして早期移行を呼びかけています(NTT東西連名の案内)。該当する回線があるなら、受注の作り直しと時期を合わせるのが合理的で⁠す⁠。

よくある⁠質⁠問

取引先がFAXをやめてくれないのですが、それでも進められますか。 進められます。取引先の送り方は変えないまま、社内で打ち直す工程だけを変えます。相手に依頼する場合も、粒度を下げると通ることがあります。「Web受発注に移行してほしい」は相手のシステムと作業手順を変える要求なので通りにくい。「注文書に注文番号を1項目足してほしい」なら、帳票のひな形を1回直すだけなので通った例があります。なお、受け取ったデータをクラウドに置く形にするなら、着手前に全取引先へ可否を確認してください。1社の不可で構成が変わりま⁠す⁠。

AI-OCRの精度は何%ですか。 条件を伴わない数字は判断材料になりません。公表された実測では、自治体6団体が参加した実証(手書きサンプル11種73帳票)で正読率が文字単位93.3%、項目単位88.57%。ただし自治体の帳票での値です。自社の注文書で何%出るかは、実物を30〜50枚読ませて確かめるほかありません。ベンダー公称値を自社の見込みに転用しないことをおすすめしま⁠す⁠。

小さく試すと言っても、何から始めればいいですか。 数えるところからです。まず直近1ヶ月分のFAXを取引先別・様式別に数え、手書きの追記があるかどうかを並べます。上位2〜3社で全体の何割を占めるかが見えれば、入口は自動的に決まります。次に、その1つの様式の実物を30〜50枚読ませて、どこまで手直しが要るかを測ります。ここまでは道具を買わなくてもできる範囲で、投資の判断はその結果を見てからで間に合いま⁠す⁠。

どのくらいの期間がかかりますか。 入口を1つに絞った場合で、数える段階から運用に乗せるまで数週間から数ヶ月を見ておいてください。内訳は、件数の集計と入口の決定に数日、実物での読み取り検証に1〜2週間、置き場と確認画面の準備、そしてミスと時間が本当に減ったかを見る検証期間です。全取引先・全様式を一度に載せる計画にすると、検証の段階で止まって期間が読めなくなりま⁠す⁠。

一手目の設計から、ご相談くだ⁠さ⁠い

FAXをやめる決断は、取引先が動くまでできません。けれど、打ち直しをやめる決断は今日できます。1ヶ月分を数え、入口を1つ決め、読み取りは判断支援として置き、変更の経路まで含めて設計する。小さく回してから広げれば、投資は手の届く額に収まりま⁠す⁠。

自社の注文書で本当に読めるのか、どこまでを機械に渡してどこから人が見るのか。見立てのところからでも構いません。読み取りから基幹への反映までを含む仕組みづくりはAIエージェント構築・運用で扱っています。まずは現状を聞かせていただくところから、無料相談でお受けします。甲府から、対面でもオンラインでも伺いま⁠す⁠。

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